足の長さは、まとめる単位にすぎない
1分足・1時間足・日足は別々の市場ではなく、同じ約定の記録を違う大きさでまとめたものです。4時間足1本は1時間足4本から正確に作れます。始値は最初の1時間足の始値、高値は4本の高値のうち最も高い値、安値は最も低い値、終値は最後の1時間足の終値で、出来高は4本の出来高を足した値です。Pro トレーディングチャートや MarketScope 総合分析で足の長さを切り替えてみると、同じ時刻の取引が違う形にまとめられるのが分かります。下の二つの図は、同じ例の価格を1時間足24本と4時間足6本で描いたものです。逆に、短い足を長い足から作ることはできません。日足1本だけでは、その中の1時間足を復元できないので、短い足のデータのほうが多くの情報を持っていて、長い足はその情報を捨てて得た要約です。出来高も同じように足し合わされるので、4時間足の出来高が多いからといって、4時間ずっと取引が多かったとは限りません。1時間に集中していたのかもしれません。
例: 1時間足24本。縦の点線は、4時間足1本に入る4本の足の境目です。3つ目の区間で2時間かけて急落し、次の1時間で反発しました。
- 始値 = 最初の足の始値
- 高値 = 4本の高値の最大値
- 安値 = 4本の安値の最小値
- 終値 = 最後の足の終値
まとめると消えるもの
4時間足の図の3本目は下ヒゲの長い陰線1本に見えますが、1時間足では2時間続いた急落と、そのあとの反発でした。逆に、1時間足で上下していた細かな波は、4時間足では数本の足に整理され、流れが単純に見えます。長い足はノイズを減らす代わりに足の中で起きたことを消し、短い足は過程を見せる代わりに意味のない揺れも一緒に見せます。どちらがより正確というわけではなく、同じ事実を違う解像度で見ているのです。そのため、長い足で目立つ形を見つけたら、一段短い足を開いて、その形がどんな過程で作られたのかを確かめる人が多くいます。長い下ヒゲが少しずつ戻した結果なのか、一度の急落と急反発なのかによって、同じヒゲでも読み方が変わるからです。逆に、短い足で見える急な動きが長い足ではヒゲ1本で終わっているかを見れば、その動きが大きな流れの中でどれほどの大きさなのかを見積もれます。
例: 上の1時間足を4本ずつまとめた4時間足6本。始値は最初の足の始値、高値・安値は4本の最高値・最安値、終値は最後の足の終値です。急落と反発は、3本目の長い下ヒゲ1本に縮まりました。
短い足ほど大きくなるノイズとコスト
足が短くなるほど1本の足の値動きは小さくなりますが、取引にかかるコストは変わりません。現物の手数料が0.1%前後なら、買って売るたびに0.2%ほどがかかり、買い気配と売り気配の差(スプレッド)や、注文が狙った価格より不利に約定する幅(スリッページ)も加わります。1日に数%ずつ動く日足ではこのコストは小さな部分ですが、1分足数本のあいだの動きでは、コストが値動きと同じくらいの大きさになることもあります。短い足でシグナルを頻繁に追うほど、コストが結果を大きく変えるのはこのためです。足が短いほど、1本の足の値幅に占めるスプレッドの割合も大きくなります。取引の閑散とした深夜や週末、時価総額の小さいコインでは気配値の間隔が開き、1分足のヒゲの大部分が、実際にはわずか数件の約定で作られていることもあります。シグナルを比べるときは、足1本の平均的な値幅と往復のコストを並べ、コストが値幅の何分の一になるかを先に確かめるのが順序です。
指標の期間は時間ではなく足の本数
RSI(14)の14は14日ではなく、足14本です。1分足では直近14分、1時間足では14時間、日足では2週間が基準の長さになります(ワイルダーの平均を使うので、それより前の足も少しずつ反映されますが、基準は足14本です)。移動平均も同じで、1時間足の200本移動平均線は約8日分の平均、日足の200日線は200日分の平均です。暗号資産は週末も取引されるので日足200本はカレンダーでも200日ですが、取引日だけを数える株式の200日線はカレンダーでは9〜10か月ほどになります。同じ設定でも、足の長さや市場が違えば、まったく違う期間を見ていることになります。そのため「日足のRSI(14)が30を下回る」と「15分足のRSI(14)が30を下回る」は、同じ数字でもまったく別の出来事です。短い足ではこうした値に1日に何度も届くことがあり、日足ではまれにしか届きません。足の長さを変えるときに指標の期間をそのままにすれば見る時間の幅が変わり、時間の幅を合わせようと期間を延ばせば指標の反応の速さが変わります。どちらを保つかを決めてから切り替えるのがよいでしょう。
- 1分足のRSI(14):直近14分
- 1時間足のRSI(14):直近14時間
- 4時間足のRSI(14):直近56時間
- 日足のRSI(14):直近2週間
足が始まる時刻と終わる時刻
足が長くなるほど、どこで区切るかが重要になります。バイナンスの足は基本的にUTC基準で区切られ、バイナンスのデータを使うこのサイトのコイン分析ツールもこの基準に従います。日足はUTC 0時、つまり日本時間の午前9時に始まり、4時間足は日本時間の午前1時・5時・9時と午後1時・5時・9時に切り替わります。週足は月曜のUTC 0時(日本時間の月曜午前9時)に、月足は毎月1日のUTC 0時に始まります。韓国の取引所 Bithumb のデータを使う MarketScope 総合分析の24時間足のように、韓国時間の0時(日本時間でも0時)で区切るチャートとは境目が9時間ずれるので、同じ日・同じ月の足でも始値と終値が違うことがあります。株式ではこの問題が別の形で現れます。韓国株は通常取引が6時間30分なので、1時間足の最後の1本が30分の短い足で終わることがあり、米国株も寄り付きの時刻がちょうどの時刻ではないため、チャートによって1時間足の区切り方が違います。こうした短い足や大引け直前の足は、出来高をほかの足と比べるときに特に注意が必要です。
保有期間と足の長さ
どの足を見るかは正解のある問題ではありませんが、目安になる考え方はあります。判断を保ちたい期間のあいだに、足が数十本ほどできる長さを選ぶというものです。数日単位で考えるなら1時間足や4時間足、数週間から数か月なら日足、それより長ければ週足や月足を主に見る、といった具合です。計画した期間に比べて短すぎる足を見ると、はるかに小さな揺れに反応してしまい、長すぎる足を見ると、判断を変えるべきときに足が確定するのを長く待つことになります。あくまで慣習なので、人によっても資産によっても決め方は違います。たとえば2週間ほど判断を保つつもりなら、暗号資産では2週間で1時間足が336本、4時間足が84本、日足が14本できます。日足14本では流れを判断するには少なすぎ、1時間足336本では反応すべき揺れが多すぎると考える人なら、4時間足を中心に置くでしょう。株式は市場が開いている時間だけが足になるので、同じ2週間でも足の本数はずっと少なくなります。
足ごとにトレンドが違うのは普通のこと
同じコインが15分足では下がり、日足では上がっているという姿はよく見られます。大きな流れの中にも小さな押しや戻りがあり、小さな足の押しや戻りが長引けば、大きな足の流れが変わることもあります。どの足のトレンドが「本物」かを問うより、足ごとに違う期間を要約しているという点をまず受け入れるほうが、混乱が少なくて済みます。マルチタイムフレーム・トレンド表は、売買代金上位のコインについて15分足から週足まで5種類の足のトレンドを一つの表にまとめて見せます。複数の足を重ねて読む方法は、第6部のマルチタイムフレーム分析の記事で扱います。実際によく使われるのは、長い足で大きな方向と主要な価格帯を決め、短い足でその価格帯で起きる動きを見守るやり方です。このとき二つの足の長さの比を4倍から6倍ほどにしておく慣習があります(日足と4時間足、4時間足と1時間足のように)。近すぎると同じ情報を二度見ることになり、離れすぎると二つの図のつながりが切れてしまうからです。
よくある誤解:長い足ほど信頼できる
長い足はノイズが少なく見えるので、長い足のシグナルのほうが正確だと考えがちです。しかし長い足は短い足をまとめた要約なので、含まれている約定は同じです。変わるのは、シグナルが少なく遅れて出て、小さな揺れに反応しにくくなるという点です。だからといってシグナルが当たる確率がひとりでに高くなるわけではなく、日足で1年に数回しか出ないシグナルは標本が少ないので、よく当たるのかどうかを確かめることさえ難しくなります。短い足のほうが早く情報をくれるという考えも半分しか正しくなく、早く見える分だけ、すぐに反転する動きも多く見えます。望む結論に合う足の長さを選んでしまう落とし穴は、第6部のマルチタイムフレーム分析の記事で扱います。どの足の長さを使うにしても、前もって決めた足の長さに同じルールを根気よく当てはめた記録がたまって初めて、その足の長さが自分のやり方に合っているかを判断できます。
暗号資産と株式で違って見える点
足の長さについての感覚は、暗号資産と株式でかなり違います。暗号資産は24時間休まないので、日足1本がまるごと24時間を含み、1時間足も1日24本が途切れずに続きます。株式は韓国も米国も通常取引が6時間30分なので、1日に1時間足が7本前後しかできず、市場が閉まっている夜と週末は足と足のあいだの窓としてしか現れません。そのため株式の1時間足チャートでは、寄り付き直後と大引け近くの足に出来高が集まり、そのあいだの足は比較的静かな形がよく繰り返されます。週足も、株式では5営業日、暗号資産では7日を含みます。サムスン電子やSKハイニックスの日足と米国の指数の日足を同じ日付で並べるときにも注意点があります。二つの市場の通常取引は韓国時間で別々の時間帯に開くので、米国市場で起きたことは翌日の韓国市場の始値に反映されるという形で、1日ずつずれて見えやすくなります。暗号資産はそのあいだも取引が続くので、同じニュースが暗号資産のチャートでは株式より先に、しかも窓のない連続した足として現れます。
リアルタイムチャートで足の長さを見るとき
リアルタイムチャートでは、足の長さによって進行中の足が持つ重みが違います。1分足の進行中の足は1分後には確定しますが、日足の進行中の足は1日じゅう形が変わり、週足は1週間ずっと変わり続けます。長い足のチャートを場中に開いて「今日の日足は長い下ヒゲ」と言うのは、まだ半日残っている足の話かもしれません。指標も同じで、日足のRSIや移動平均の最新の値は、今の価格を終値と仮定した仮の値で、足が確定するまで動き続けます。複数の足の長さを一つの画面に集めて見るツールでは、足ごとに確定までの残り時間が違うので、短い足の確定したシグナルと長い足の進行中のシグナルが同じ行に混ざって見えるという点も覚えておくとよいでしょう。シグナルを記録したり比べたりするときは、確定した足を基準にそろえるのが基本です。
実践チェックの順序
足の長さを切り替えながらチャートを見るときに確かめることを、順番にまとめました。どの足の長さが正しいかを決めてくれるリストではなく、違う足の長さの情報を混ぜて読む間違いを減らすためのものです。
- 判断を保ちたい期間を先に決め、その期間に足が数十本できる長さを中心の足として選ぶ
- 中心の足より4倍から6倍長い足で、大きな方向と主要な価格帯を確かめる
- 指標の期間が、その足の長さでは実際に何時間・何日にあたるかを換算してみる
- 比べるチャートどうしで足の基準時刻(UTC、韓国時間、通常取引)が同じかを確かめる
- いちばん右の足が進行中なら、確定までの残り時間も書き留めておく
- 短い足では、足1本の平均的な値幅と往復のコストを比べてみる
- 結論を先に決めておいて、足の長さを切り替えながら合う図を探していないかを振り返る
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